こんにちは! ドルフィン八戸店の嶋守です。
今回は『外壁』『屋根』のメンテナンスについて記事にしてみます。
これから本格的なウィンターシーズンを迎えるにあたり、ご自宅の外回りが傷んできているとはこの冬大丈夫かなぁと心配になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
目次
冬時期に傷むのはどちらかといえば【外壁】
寒い冬。屋根も外壁もさぞかし過酷な環境で劣化が進むと思いきや・・・きちんと塗装がされている場合には屋根はそんなに傷みません。むしろ外壁のほうが場合によっては『凍害』という現象で大ダメージを受けるリスクがあります。いづれにしても、屋根も外壁も共通して言えるのは『塗装が残っているか』『塗装が役割を果たしているか』ということです。
塗装が劣化している場合は屋根も外壁もダメージを受けてしまいます。
塗装がしっかりしている場合は屋根の場合はむしろ冬のほうが夏よりもダメージを受けにくいと言えます。
| 塗装の役割
屋根も外壁も共通している言えることは『表面の塗装が命』ということです。
表面の塗装はいわば『鎧』『衣服』の役割をしています。
塗装は何層かに分かれていて少しづつ減っていきます。
紫外線や赤外線などの『攻撃』にさらされることで少しづつ『鎧』は強度を失い、最後には壊れてしまいます。そして最後の層の『衣服』も擦り切れて無くなってしまい、『丸裸』になった時に一気に傷みが進行します。
人間と一緒ですね。裸で歩いてれば、ぶつかってケガするし、風邪ひくし、といった具合です。
実はこの『鎧』。水や寒さにはめっぽう強く、たいしたダメージは受けないのです。むしろ強敵は『紫外線・赤外線』などの太陽の光。そして温度の上昇による『熱』。特に屋根の夏場の表面温度は80℃まで達します。これらで塗料はダメージを受けてしまいます。
その理由はズバリ
塗料=樹脂 だからです。
樹脂といえばプラスチック。プラスチックが太陽の光に弱いのはなんとなく実感があると思います。時間と共に色が変わってきたり、もろくなったりしますよね? 熱を加えたプラスチックって柔らかくグニャグニャしますよね?
塗装の種類ととしてフッ素、とかアクリルとか聞いたことがあると思いますが、正式にはフッ素樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂と最後に樹脂が付きます。
これら自体には色はありません。(無色透明という意味ではなく)
色の成分は粉状になっていて、それをどろっとした樹脂に溶かし込んでいるんです。
外壁を手でこすって、手に粉がついたら塗装時期!! って聞いたことがある人も多いと思います。
これって、塗装の樹脂成分が劣化して中に閉じ込められていた粉状の顔料が表面に浮き上がっている状態なんですね。だから塗装がもろくなっている目安となります。
| 冬季間の金属屋根の環境
雪に覆われる冬の期間は、紫外線の影響を受けにくい。また気温が低いため表面温度が上昇しにくいので、屋根の塗装面にとってはむしろ過ごしやすい時期といえます。
但し、あくまでも塗装が残っている状態の話です
塗装が劣化して金属が剥き出しの状態では、劣化は進んでしまいます。人でいうところの『裸』の状態、『生身の身体』の状態になると話が変わってきます。
金属そのものは樹脂が苦手とした『太陽光』については、ダメージをそれほど受けません。紫外線だろうが熱だろうが、自然環境の太陽光ではビクともしません。
一番の強敵は『水分』となります。
塗料の苦手な環境と、金属の苦手な環境は全く別ということですね。
塗装が落ちてしまった状態で水分にさられると、腐食が進みます。
つまり『錆』です。
雪どけ水などにさらされる冬季は、塗装が劣化してしまった金属にとっては、良い環境とは言えないわけです。もしも錆が発生していた場合は悪化が進んでしまいます。
それでも一般的には冬期間は錆、金属の腐食は進みにくいと言われています。
温度が高いほうが腐食の進行が速いことがわかっています。冬季間は気温が低いため、腐食の進行が遅くなります。
また冬季間は空気が乾燥気味となります。錆の原因となる水分が空気中に少ないというわけです。
ただし、これは降雪量が少ない関東以南の話であって、東北地方、雪国はそうとも言えません。
一般的には、最も金属が錆びやすい、腐食が進みやすい時期は
梅雨時
と言われています。気温も高く(これまた関東の以南の話ですが)じめじめし、表面の結露も発生する。という理由からです。
ところで、ここまでの話は『金属屋根』の場合です。最近ではセメント系の屋根を雪国に施工する例は少ないと思います。南東北以南では普通に使われています。その理由として、冬場に不具合が出るケースが多かった為です。
セメント系の屋根はいわゆるサイディングで良く使われる『窯業系サイディング』とよく似た性質を持っています。
窯業系サイディングについて引き続き書きたいと思います。
| 冬季間の外壁(窯業系サイディング)の環境
さて、問題はこちらです。
ですが、まず最初に外壁には大きくわけて2種類あります。
・金属系サイディング
・窯業系サイディング
同じ外壁でも金属系サイディングについては、金属屋根と考え方は同じで、塗装がしっかりしていれば、特に何も起きません。
問題なのは『窯業系サイディング』のほうなのです。
サイディングメーカーが長年苦しんだ『凍害』
実は、サイディングのカタログには
・一般地用
・寒冷地用
と別れていて、寒冷地用になると種類が少なくなります。
むかーし、むかしはこのように分かれていませんでした。その結果、恐ろしい事態が次々と発生したのです!
私がこの業界に入りたての頃、まさしく普及した窯業系サイディングに不具合が出始めた時期でした(しみじみ・・・)
窯業系サイデイングは1974年に生まれ、1990年頃から洋風デザインの普及と共に種類、シェアを増やしたと言われています。その数年後、北国で謎の現象が次々と報告されるわけです。
外壁の表面がボロボロになり、放置するとどんどん大きくなっていく現象が雪国の住まいで起こりました。
実はこれはコンクリートでも同様に発生する現象です。
コンクリートも窯業系サイディングも同じセメントでできた仲間。似たような症状が発生したしまった訳です。
凍害のメカニズム
詳しくはKMEW クボタ松下電工外装様のホームページでも詳しく解説しています。外壁の中のごくごく小さな隙間に水がしみ込んで、その水が凍結して膨張。
膨張することで小さな穴が少し大きくなります。
その翌年にまた水が入り込んで膨張。穴を広げます。
そのまた翌年に・・・・ と水分吸収、凍結、膨張、広がった孔にまた水分吸収、このサイクルを繰り返すうちに、ごくごく小さな孔がいつのまにか大きく成長していき、最終的には誰の目にも見えるくらいの大きな孔、というより、この頃には孔と孔が連結して、崩れ落ちて・・・いわゆる、ボロボロの状態になってしまう訳です。
各社、研究を重ねて、各メーカーさんは凍害に強い外壁材を作り上げています。具体的にはわざと水が入りこむ隙間を用意して、膨張に備える方法のようです。
それでも凍害が起きる場合がある
雪がとどまってしまう環境にあると、凍害が発生しやすくなります。
具体的には下屋の上。
壁から1階の屋根が隣接しているケースがよくあると思います。ここの雪が落ちずに長期間とどまると、対策してある外壁といえども不具合が発生しやすくなります。
塗装による防水機能が失われている場合、この凍害の危険度が格段にアップします。もともと水分を吸い込みやすい素材である窯業系サイディングです。塗装によるコーティング(鎧・衣服)がないマッパ(真っ裸)の状態では・・・・あまり脅迫じみたことも書けないので、これくらいにしておきます。
金属も窯業系も水に弱い素材である。
水に強い塗料(塗装)がその弱点を補っている。
塗料は太陽光に弱い。
金属も窯業も太陽光や熱には強いのに、なんとももどかしい話です。
結局、いつどうすればいいのか
その答えは塗装面をキープする。定期的に塗装するという以外にありません。
ちなみに、春と秋が塗装のベストシーズンです。
梅雨前の4月~5月。 梅雨時の屋根の劣化を予防します。
秋の9月~11月。 冬季間の外壁の劣化を予防します。
外壁は手で触って粉がついたら、では屋根は?屋根にあがって触れませんよね?
良く言われるのが雨樋など、目に見える部分、触れる部分をチェックしてタイミングを伺う方法です。
屋根と外壁は同時に再塗装するべき?
これは、なかなか難しい問題です。実際は屋根のほうが傷みが早く、本来ならタイミングが合いません。特に金属サイディングや最近の窯業系サイディングは30年程度効果の持続が期待できるモノもあります。
同時に塗装するメリットは『足場』の費用です。屋根も、外壁も基本的には足場が必要となります。別々に工事した場合、同じモノ、同じ費用がかかります。金額も30万円前後、場合によっては40万~かかる場合もありますので、無視できません。屋根塗装の工事料金が40万前後が一般的なので、なんかもったいないですよね。
塗装のサイクルは10年。が一般的です。場合によっては8年という場合もあります。ネットの情報もそのぐらいが多いですが、温暖な地域と寒冷な地域では条件がかなり違うので、北国では一般論ほど劣化のスピードは遅いと考えています。それにその根拠は塗料メーカーさんの情報であったり、塗装屋さんのHPであったり、言ったらなんですけど売り手側の発信ですよね(ちょっとマズイこと言ってます??)
ここからは個人的見解も含みますが、第一に年数どうのこうよりも、ちゃんと診断することです。見た目による錆の発生など、色あせなのでの外観チェック、触ってみてのチョーキング(触って手に粉がつく現象)
特に近年のサイディングは非常に性能が上がっていて30年間塗装がいらないモノもざらにあります。
これから建てる人はなおさら良い材料を使うべきです、何年で塗装するとか悩まなくて良いですから。
そのような高性能商品を使用している場合はむしろ塗らないほうが良い場合があります。クリア塗装という表面のコーティングを増す塗装がおススメです。
それ以外の場合10年サイクルだと建物、外装材としては文句無しですが
個人的には15年~20年ぐらいで状況次第での塗装で良い気はします。
30年何もしてないのではあれば是非塗装しましょう。
独り言です
ここからは、主題と離れます。単なる独り言です(笑)
本当のことを言うと、メーカーさんの設計年数でいうと、外壁も屋根も30年たったら塗装だけではなく、全交換が理想なんです。
ですが、機械みたいに動かなくなる訳ではないし、ボイラーやストーブみたいに突然火を噴いて火災を起こすわけでもないし、別に無理しなくても・・・とは思います。
30歳で新築して84歳まで暮らすとして(日本人の平均寿命だそうです※2019年時点)54年間住むとして、10年ごとに塗ってたら5回も塗るわけで、屋根外壁で150万円ぐらいかかりますから750万円ですよ。
ちょっと多い気がしませんか?
要は、その住まいをあと何年持たせる気か?ということだと思うんですよね。
孫、ひ孫の代まで100年以上! ということではあれば是非10年ごとに塗装すべきです。むしろ、そうしないと持ちません。
大げさな話ではなく、メンテナンス費用って100年住宅を想定しているところがあると思うんですよね。
あらゆるモノが30年で耐用年数的には終わりを迎えます。
仮に30年で張り替えるつもりなら、15年で良いというのが自分の考えです。
但し、凍害のリスクがある場所、形状をしている場合はそうはいきません。やはり10年スパンで考えないと、構造そのものに悪影響が出ます。
そうでないなら別に・・・・(またマズイこと言ってますネ)
ちなみに30年たつと水廻りを交換しなければなりません。
トイレ、換気扇、浴室暖房、ガスIH、ボイラーは10年サイクルなので、先ほどの54年で仮に試算すると
トイレ15万円x5回=75万円
キッチン換気扇15万円x4回=60万円(キッチン交換時を減)
浴室暖房15万円x4回=60万円(システムバス交換時を減)
ガス・IH 15万円x4回=60万円(キッチン交換時を減)
洗面化粧台15万円x5回=75万円
石油ボイラー30万円x5回=150万円※エコキュートは倍額
キッチン100万円x1回=100万円
システムバス100万円x1回=100万円
水廻り設備合計額 680万円!!
となります。
逆に言えば生涯の必要経費680万円で常に理想の状態で水廻り設備については生活できるということです。
で
屋根外壁の費用が750万円。
水廻りの生涯メンテに近い金額です!!
両方あわせて1430万円!!これが基本的な住まいの生涯メンテナス費用となります。実際は細かくアレコレかかりますから、もっとですね。
2000万円から3000万円で購入した住まいを生涯快適に使い続けるためには、さらに1475万円かかるということですね。
自分で計算しておいてなんですが、なんか嫌ですね(笑)
10年スパンで計算すると1475万円ですが、
15年スパンで計算すると水廻りが470万円+塗装450万円で総額920万円となります。(このあたりが現実的なラインではないでしょうか・・・)
水廻りは毎日の快適さに直結する部分なので、仕方ないと思いますね。自分だったら水廻り交換を優先して外装まわりのメンテは抑えたいと考えちゃいます。
さらにメーカーさんの設計通り30年で一度張り替えるとなると、先ほどの計算に上乗せされます。張替えは塗装よりもコストがかかって屋根外壁あわせると450万円以上が相場となります。個人的にはう~~んですね・・・
まあ、車も5年毎に買い替えるとしたら、200万円の車と仮定して、下取りで半額の100万円が入るとしても100万円x13回(20歳から84歳まで5年おきとして)1300万円かかりますしね。
一応申し上げておきますが、塗装の目安は10年ごとが理想です!! 塗装しなくていいという記事ではありませんので!(汗)
それではまた次回!